トヨタのクラウンスポーツは、その魅力的なデザインと高い走行性能で多くの注目を集めています。SUVとしての利便性と、クラウンシリーズならではの高級感を融合させた一台ですが、実際に試乗してみると新たに気づくポイントもあります。本記事では、クラウンスポーツの魅力を深掘りしつつ、試乗で見つかった具体的な不満点についても詳しく解説します。これから購入を検討している方にとって、有益な情報を提供する内容となっています。
クラウンスポーツは不満点の少ないクルマ
クラウンスポーツの基本情報をおさらい

トヨタのクラウンスポーツは、スポーティーなデザインと先進装備を兼ね備えた新しいSUVモデルとして、多くの注目を集めています。従来のクラウンシリーズの高級感を継承しながらも、SUVとしての実用性や走行性能を追求しており、日本国内外で幅広いユーザーから支持されています。搭載されるハイブリッドシステムやプラグインハイブリッド(PHEV)の選択肢は、環境への配慮と高いパフォーマンスを両立しています。
全長4,720mm、全幅1,880mmというボディサイズは、SUVとして十分な存在感を持ちながらも、日本の都市部での取り回しの良さを考慮しています。E-Four(電動四輪駆動)を採用することで、悪路や雪道でも安定した走行性能を発揮します。
スペックと価格表
項目 | SPORT RS | SPORT Z |
---|---|---|
全長 (mm) | 4,720 | 4,720 |
全幅 (mm) | 1,880 | 1,880 |
全高 (mm) | 1,570 | 1,565 |
ホイールベース (mm) | 2,770 | 2,770 |
トレッドフロント/リヤ (mm) | 1,605/1,615 | 1,605/1,615 |
最低地上高 (mm) | 155 | 160 |
室内長 (mm) | 1,855 | 1,850 |
室内幅 (mm) | 1,540 | 1,540 |
室内高 (mm) | 1,175 | 1,175 |
乗車定員 | 5名 | 5名 |
価格と燃費性能
SPORT RS
- 価格: 7,650,000円(税込)
- エンジン・ハイブリッド: 2.5L プラグインハイブリッド車
- 駆動: E-Four
- WLTCモード燃費: 20.3km/L
SPORT Z
- 価格: 5,900,000円(税込)
- エンジン・ハイブリッド: 2.5L ハイブリッド車
- 駆動: E-Four
- WLTCモード燃費: 21.3km/L
国産車では類を見ないデザイン

クラウンスポーツの最大の魅力は、そのデザイン性にあります。シャープでアグレッシブなフロントフェイスは、見る人に強い印象を与えます。大型のグリルと切れ長のLEDヘッドライトの組み合わせは、未来的かつ高級感を感じさせる仕上がりとなっています。ボディサイドのダイナミックなラインは、SUVらしい力強さと洗練された美しさを両立しています。
リアビューでは、クラウンシリーズの中でも特徴的なデザインが採用されています。今回のシリーズでは横一文字のテールランプが多くのモデルで採用されていますが、クラウンスポーツだけはセパレートタイプのテールランプを採用しています。このデザインは、視認性や夜間の存在感を損なうことなく、よりスポーティさを強調しており、他モデルとの差別化を図る重要な要素となっています。国産車の中でも、このようなデザインの完成度と独自性はクラウンスポーツならではと言えるでしょう。
取り回しやすいボディサイズ
クラウンスポーツの全長4,720mm、全幅1,880mmのサイズは、日本の道路事情を考えると絶妙なバランスです。SUVとしての存在感を損なわずに、狭い街中や駐車場でも取り回しやすい点が、多くのユーザーから評価されています。
視界の広さや運転席からの見晴らしの良さも取り回しの良さを助けています。サイドミラーやリアカメラの性能が高く、駐車時のストレスは少なかったです。後輪操舵(DRS)機能により最小回転半径5.4mを実現しており、狭い道での取り回しが格段に向上しています。これらのポイントは、日常使いでの利便性を大いに向上させています。
車両価格に見合った充実装備

クラウンスポーツは、車両価格に見合った装備が充実しています。全車標準装備となる運転支援システムには、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト、自動ブレーキなどが含まれています。モデリスタのカスタムパーツやパノラマルーフといったオプションも用意されており、さらに高級感を演出できます。
内装では、本革シートや12.3インチディスプレイ、デジタルメータークラスターが採用されており、ドライバーだけでなく同乗者にも快適な空間を提供します。スイッチ類のタッチ感も非常に良好で、細部にまでこだわった仕上がりがトヨタの高級車であることを実感させます。これらの装備が、クラウンスポーツの高い満足度を支えています。
いよいよクラウンエステートが発売となりました。優雅な大人のワゴンSUVについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
デザインや走行性能の満足度は高いが、、、
クラウンスポーツは、そのデザイン性や走行性能で多くのユーザーから高評価を得ています。特に、外観の洗練されたデザインや、高速道路での安定感ある走行性能は、多くのユーザーから絶賛されています。しかし、どんなに完成度の高い車でも、実際に試乗してみると気づくポイントがあります。クラウンスポーツも例外ではなく、試乗中にはいくつかの点が気になりました。これらのポイントは、全体的な満足度を損なうものではありませんが、さらに快適性を追求する余地を示しています。以下では、試乗時に感じた具体的な不満点について詳しく取り上げるとともに、それに対する対策や改善の可能性について考察していきます。
クラウンスポーツの不満点を考察
クラウンスポーツの魅力を見てきましたが、一方で実際に試乗してみるといくつか気になるポイントもありました。特に、静粛性や足回りの硬さ、リアシートの快適性、Zグレードのパワー不足、ピアノブラック加飾の耐久性などが挙げられます。ここからは、それらの不満点について詳しく掘り下げ、それがどのような場面で影響を与えるのかを解説していきます。
室内の静粛性不足

試乗中にまず気になったのは、室内の静粛性です。特に市内の幹線道路での走行時に、風切り音はよく抑えられている一方で、ロードノイズや低扁平タイヤからくる乗り味の硬さが際立ちました。特に荒れた路面では、振動が車内に伝わりやすく、コツコツとした感触が顕著に現れる場面もありました。このような特性はスポーティーな走行性能を目指した結果とも言えますが、快適性を重視するユーザーにはやや気になるポイントとなるでしょう。
ドアガラスに遮音ガラスが採用されていないことも原因の一つです。参考までに、トヨタのハリアーではフロントドアに高遮音合わせガラスが採用されており、クラウンスポーツとの静粛性の違いが明確に感じられます。
解決策
- 遮音材の追加:ドアパネルやフロア部分に遮音材を追加することで、騒音を効果的に軽減できます。ロードノイズやエンジン音をより抑え、快適な室内空間を実現できます。遮音材の種類や厚みを調整することで、特定の音域に対する効果を高めることも可能です。
フロア部分の遮音処理に加えて、ドア周りのシール性能を強化することで、外部からの風切り音をさらに低減できます。この対策は、高速道路や幹線道路などの走行時にその効果を特に発揮します。
比較対象としても人気のハリアーは、クラウンスポーツに迫る静粛性も備えています。気なる方はこちらの記事もご覧ください。

クラウンらしからぬ硬い足回り
クラウンスポーツはスポーティーな走行性能を目指しているため、足回りがやや硬めに設定されています。特に高速道路での安定感やコーナリング性能は評価される一方で、この硬さが日常の街乗りや長距離ドライブでは不快に感じられることがあるのではないでしょうか。段差や舗装の悪い道路を走行すると、振動が車内に伝わりやすくなる点も見逃せません。
路面からの突き上げ感が強いため、長時間のドライブでは疲労を感じやすいとの声もあります。この特性はスポーティーな車両としての特徴とも言えますが、快適性を重視するユーザーにとっては課題となるでしょう。
解決策
- 可変ダンパーの採用:走行モードに応じてサスペンションの硬さを調整できる仕組みを追加。ただし、Zグレードには電子制御ダンパー機能が採用されておらず、快適な乗り心地や走行性能を求める場合はRSグレードを選ぶ必要があります。
リアシートの快適性不足
クラウンスポーツはスポーティな走行性能を優先しているため、リアシートスペースが犠牲になっています。クロスオーバーやセダンと比べて足元スペースが狭く感じられることが多く、長時間の乗車では快適性に難があると思います。また、リクライニング機能が省かれていることも快適性に影響しています。シートヒーターがRSグレードの専用装備となっており、Zグレードには設定がない点も不満要素です。

荷室の狭さも気になるポイントです。クラウンスポーツの荷室容量は、約400リットルとされていますが、ハリアーの約440リットルと比較するとやや見劣りします。特にゴルフバッグや大型の荷物を載せる際には、その差が顕著に感じられると思います。実用性を重視するユーザーにとっては、荷室容量の小ささがネックになるでしょう。
Zグレードのパワー不足
Zグレードのハイブリッドシステムは、日常使いには十分ですが、市内の幹線道路での加速や追い越しの際にパワー不足を感じる場面がありました。走行モードをSPORTSモードにすることでアクセル操作の反応は良くなる傾向がありますが、ベースとなるシステムユニットの限界はあります。
よりパワーを求めるユーザーには、RSグレード(PHEV)をおすすめします。このグレードはプラグインハイブリッドシステムを搭載しており、加速性能が向上しているため、日常の使い勝手だけでなく、高速道路での合流や追い越しでも安心して走行できます。
ピアノブラック加飾の線キズが目立つ

ルーフやドアパネル、テールライト付近にまでピアノブラック塗装の加飾がなされており、これらの部分は見た目の美しさを引き立てています。しかし、線キズが付きやすいという難点があり、メンテナンスに手間がかかるとの指摘もあります。このような素材は特に注意が必要で、日常的なケアを怠ると外観が損なわれる可能性があります。
解決策
- コーティング:納車直後にガラスコーティングを施すことで、車体を保護し、美観を長持ちさせることができます。ただし、線キズが付きやすい素材そのものの改善にはならないため、定期的なメンテナンスが必要です。
- プロテクションフィルムの採用:キズ防止のため、透明フィルムを貼る。特に、プロショップでの施工を依頼することで、より高品質な仕上がりが期待できます。プロショップでは、フィルムの種類や施工箇所を車両の状態やユーザーの要望に合わせて選定してくれるため、安心して任せることができます。
クラウンスポーツの不満点は主に5つ
クラウンスポーツにはいくつかの不満点が見られますが、これらの不満点を踏まえても、その完成度の高さと総合的な満足度は非常に優れています。デザインや装備の充実度、走行性能においては他に類を見ない魅力を持っています。日常使いの実用性から特別なドライブ体験に至るまで、多くのシーンでユーザーの期待に応えるものでしょう。
クラウンスポーツは洗練された外観と先進的な技術が融合しており、所有すること自体がステータスとして感じられるモデルです。内装の高級感や操作性の良さも、多くのユーザーにとって大きな魅力となっています。
試乗を通じて、クラウンスポーツの特性をじっくりと確認し、自分のライフスタイルに適しているかを見極めることが大切です。購入前に複数のグレードやオプションを比較することで、最適な仕様を選ぶことができます。クラウンスポーツを検討中の方は、これらの情報を参考に、試乗や購入を進めてみてください。
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